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しろまち堂~本館・こちらは新館です~

読んだ本のなかでも、イチ押しおススメの本をご紹介しています。 FC2の『しろまち堂~本館(休館)~』( http://honwagohan.blog19.fc2.com/ )から引っ越してきました。よろしくどうぞ

トオリヌケキンシ(加納朋子・著 文藝春秋)

加納朋子さんの新作、遅ればせながらやっと読みましたよー。

トオリヌケ キンシ

加納 朋子 文藝春秋 2014-10-14
売り上げランキング : 122162
by ヨメレバ

 

内容紹介(Amazonよりコピペ)

人生の途中、はからずも厄介ごとを抱えることになった人々。でも、「たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても。根気よく探せば、どこかへ抜け道があったりする。」(「トオリヌケ キンシ」より)他人にはなかなかわかってもらえない困難に直面した人々にも、思いもよらぬ奇跡が起きる時がある――。短編の名手・加納朋子が贈る六つの物語。
(収録作品)
高校に入ってから不登校・引きこもりになってしまったある少年。ある日彼の家に、一人の少女がやってきた。少女はかつて少年に助けてもらってもらったことがあるという――。『トオリヌケ キンシ』
「ある形」を見つけてしまう能力以外はごくごく平凡な女子高生。そのふしぎな力を生物の先生は「共感覚」と分析した……。『平穏で平凡で、幸運な人生』
やさしかった母がある日豹変、家の中でいじめられるようになってしまったタクミ。つらい日々の救いは、イマジナリーフレンド(想像のお友達)の存在だった。『空蝉』
人の顔が識別できない――「相貌失認」の「僕」は、高校入学を機にそのことをカミングアウトする。あろうことかその後「僕」はある女の子から「好きです」と告白される。不思議な始まりの恋の行方は? 『フー・アー・ユー』
長く連れ添った夫人を突然に亡くし、気落ちする亀井のおじいちゃん。家の中でひとりのはずが、ある日「座敷童がいる」と言い出した!『座敷童と兎と亀と』
前日に高熱を出して受験に失敗した「俺」は、ある場所に引きこもり、自分でコントロール可能な「明晰夢」を見る日々を過ごしている。そんな中で出会った女の子「ミナノ」、彼女は夢だったのか、それとも?『この出口の無い、閉ざされた部屋で』。

 

非常にいいかたちで<昇華>された短編集

前作の『はるひのの、はる』で病気についての描写に対して、ご自身のリアルと重ねてほしくないようなことを書いていらしたので、作家ご本人はこういう評価は好きじゃないかもですけどね。
ただ、読者としては著者のその体験があったからこそ、あの作品の文章がより濃やかになったんだろうなと思っちゃうわけです。
そして、『はるひの~』ではまだうまく折り合いがつかなかった部分があったとしても、この『トオリヌケ~』でいい距離感をつかめたんじゃないかな、とも思います。

作品自体はバラツキがあるように感じますが、それも彩りの豊かさと言えましょう。


何よりもかによりもおススメなのは「フー・アー・ユー」。
(ところでこの作品の主人公の男の子の<相貌失認>って、名前は出てこないけど、名香智子さんのコミックで数回出てきてますね。『レディ・ギネヴィア』のギネヴィアもたぶんそうだよね。今思うに画期的な設定だったわ)

ネタばれしたい!そして語りたい!でもこれ書いちゃうとさすがに読む楽しみが削がれちゃうからな~★
ということで以下反転でまいります(結局書くんかいwww)

このカップリングって最強だよねーと思います。ザ・少女マンガのようだ。
だって、「君がどんな姿だって関係ない」と言いきっちゃう彼氏と、眼鏡外したらド・美人の彼女の組み合わせですよ?まあ、彼女は醜形恐怖のため、自分の美形をガッツリ隠しちゃってますけども。
判別できない彼氏と見られたくない彼女っていう組み合わせもなんかすごいよね。たしかに条件はあっている。
で、例えば彼女の醜形恐怖が仮に治ったらこのカップルはどうなるのかしら?とストーリー外のことも考えたりするんだけど、なんか別れる気がしません。安心感に基づいた恋愛だからかしらね?
世の中そんなにうまくいくわきゃないだろー、ってツッコミたくなりつつも、彼女のおとなしくてつつましい性格とか、彼氏の非常にフラットな性格とかがいい味を出していて。そこにスパイスのように周囲の人のコミカルな様子が差しこまれたりすると、もうもう美味しいものを食べたときみたいにニコニコしながら読んじゃうんですわー。
しかし、見た目にまるっきり影響を受けない男性というのは本当にこんなに冷静に人をみているものかしらん?と一抹の疑問も。まあ、小説だからこれくらいカッコよくてもいいかーw


その他の作品というか全体を通しての登場人物では、わたしは兎野一家がお気に入り。この名字と人々のギャップは、ぜひ他の作品にも登場して活躍していただきたい!と思う魅力がたっぷりです。
リンクしていない短編集の中で、この家の人だけが2作品にまたがって出てくるところをみると著者も気に入ってるんじゃないかなー。
そのうちどこか別作品でもお会いしたいものです♪

 

友情あり、恋愛あり、隣人愛も家族愛もありのバラエティ豊かな作品集。ときどき思い出して読み返したくなる1冊がまた増えて、たいへん嬉しゅうございました^^

 

 

 

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