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しろまち堂~本館・こちらは新館です~

読んだ本のなかでも、イチ押しおススメの本をご紹介しています。 FC2の『しろまち堂~本館(休館)~』( http://honwagohan.blog19.fc2.com/ )から引っ越してきました。よろしくどうぞ

イワン・デニーソヴィチの一日(ソルジェニーツイン・著 新潮社)

わたしが持っているのは岩波文庫です。

訳はどれくらい違うのかなぁ…? 

 

岩波文庫表紙より)午前5時,ラーゲリ(収容所)ではいつものように起床の鐘がなった。また長い一日が始まるのだ。――身をもって体験したスターリン時代のラーゲリを舞台に,ソルジェニーツィン(1918-)は異常な状況下で人々が露わにする多様な性格と行動を描き,人間性の圧殺者を正視し告発する。

強靭なヒューマニズムの精神と高度の芸術的技量に裏打ちされた作品。

 

著者はソルジェニーツィン

今は新潮社から出版されているようです。

 

 

ロシア系の作品を中心に読んでいた時期があって、その頃にこの本に巡り合いました。
いっときとにかく繰り返し読んでいましたねー。
実は一番精神的に追い詰められていたように感じていた時期で
ラーゲリという過酷な状況でも淡々と暮らしているシューホフに、たくさん慰めてもらったなと思います。

とはいえ、ソルジェニーツインで読んでいるのはこの本だけです。
他の本は長すぎ重すぎで、なんかこう、位負けして挫けましたw

 

舞台になっているラーゲリっていうのは、収容所ですね。刑務所系のくくり…でいいのかな。
主人公のイワン・デニーソヴィチ(通称シューホフ)は政治系のスパイとして捕まったようですが、無実の罪。
それで10年て!?と驚きますが
時代と国によってはそれほど特殊じゃないの?
少なくともラーゲリ内ではそういう人が珍しくないような書かれっぷりです。

 

そんなとばっちり系の人から、いわゆる本当の政治犯的な人まで
いろんな人たちが収容されていて、集団で過酷な生活をしているわけで
そこでの冬の1日の生活をシューホフを中心に描き出しているのですが
冬で寒くてひもじくて大変!
なのに
妙~にタフで生活力バッチリ、でして
泉谷しげるふうのかっこよさといいましょうか
イケメンじゃない、ゴツイ、でもなんかイイ。
そんなムードに満ち溢れております。

 

人種も年齢も外での生活も様々なら
中での待遇もこれまたバラエティに富んでいます。
外から差し入れの小包が届くか否か?
要するに貧富の差ですな。これがモノを言います。食べものがよろしくないので切実なのですよ★

 

差し入れがある人は、差し入れの種類によってはラーゲリ内で売り買いして

お金(やおそらくはそれに伴う良い待遇)を得ることもできます。
ない人は、シューホフのように自分の才覚や仕事で稼ぐか…もしくは他人のおこぼれをあてにするか。
このあたり実に弱肉強食なんですけど
シューホフがその中で淡々と、そしてすいすいと泳ぐかのように自力でラーゲリ生活をわたっていく様子が力強いんですよねー。

 

持っているからって(差し入れがあるからって)絶対的な強者になるわけでもないし
持っていないからって(差し入れが届かないからって)みじめになるとも決まらない。
自分なりの基準をもって周囲と自分の基準をすり合わせながらしたたかにやっていければ、
しんどい人生だとしても、なんとか行きぬけるかもしれない。
そういう勇気をもらえます。

 

極寒のなかのわずかなぬくもりを
まずくても食事のもつ意義を(そしてたまにありつけるささやかな美味を)
しっかり味わいながら、
自分を卑下することも傲慢になることもなく過ごすことの豊かさ。
そちこちに見られるユーモアを集約したかのような
絶妙なオチになっている結びの言葉。

 

ロシア文学ですがけっこうハードボイルド入ってます。
ページ数は少ないですが、読み応えバッチリなので
ガツッとした男性っぽい作品読みたい気分の時にどうぞでございます。

 

 

 

 

 

 

 

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