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しろまち堂~本館・こちらは新館です~

読んだ本のなかでも、イチ押しおススメの本をご紹介しています。 FC2の『しろまち堂~本館(休館)~』( http://honwagohan.blog19.fc2.com/ )から引っ越してきました。よろしくどうぞ

家守綺譚(梨木香歩・著 新潮社)

梨木香歩さんの近作『冬虫夏草』をやっと最近読みまして。

そこから遡って再読しているところです。

楽天ブックスよりコピペの)【内容情報】(「BOOK」データベースより)
たとえばたとえば。サルスベリの木に惚れられたり。床の間の掛軸から亡友の訪問を受けたり。飼い犬は河瞳と懇意になったり。白木蓮がタツノオトシゴを孕んだり。庭のはずれにマリア様がお出ましになったり。散りぎわの桜が暇乞いに来たり。と、いった次第の本書は、四季おりおりの天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。

著者:梨木香歩

出版社:新潮社

 

 梨木さんの作品は、旧ブログで

りかさん - しろまち堂~この本館はただいま休館中の旧館になります~

ペンキや - しろまち堂~この本館はただいま休館中の旧館になります~

蟹塚縁起 - しろまち堂~この本館はただいま休館中の旧館になります~

マジョモリ - しろまち堂~この本館はただいま休館中の旧館になります~

『秘密の花園』ノート - しろまち堂~この本館はただいま休館中の旧館になります~

などを紹介しています。

 

 えー、まず最初に一言余計なお世話を。

楽天ブックスの内容紹介は間違っていません。間違っていませんが、ノリは作品のイメージと違いますので、注意したほうがいいかも?です。

ギャップで驚く方が少ないといいのですが…。

 

 

この『家守綺譚』は近い時期に出版された『村田エフェンディ滞土録』と対のようなかたちの作品です。
この作品も再読しなくちゃだなあ。

 

再読でしたが結構忘れていまして。
最初感じたのが…
「こんなに夏目漱石っぽかったっけ?」
でした。

主人公の綿貫氏が家守になるくだりのテンションが、かなり『坊ちゃん』ぽいのです。
この最初の部分のノリで内容紹介が書かれたのかな?
梨木さんも、このくだりは『坊ちゃん』を意識してらしたのでは?などと勝手に推測。

 

彼は(おそらく純文学系の)モノ書きなのですが、
学生時代の友人・高堂氏の実家のご尊父から
家が荒れないように住んでほしいという申し出を受けて許諾、引っ越しをするわけです。
そして、そこに越して暮らし始めたある日、
いきなり(限りなく死亡に近い行方不明の)友人・高堂が掛け軸の絵から抜け出て会いに来る
…というのが『~稀譚』の始まりなわけですが…

 綿貫さんが動じないので全然ドラマにもオカルトにもならない(笑)。
ねえねえ、もうちょっと驚きましょうよ!

何度ツッコミを入れたくなることかw

 

とはいえ彼は冷静というより、非常に公平というかフラットな性格なんだと思います。
人に対しても、そして人ではない存在に対しても等しく優しい。
だからこそ、この世ではないところにいるはずの友人がたびたび訪れるのでしょう。

 

「こちら」と「あちら」の違いがどれほどかはわかりませんが
恐れたり忌み嫌ったりするどころか、どんな相手でもまるきり対等につきあう綿貫さんのすごさはあくまでさりげないので
読んでいて普通のことのように思われてしまいます。

 

ある日ふらりと綿貫さんについてきて、やはりふらりと現れた高堂さんにゴローと名付けられた飼い犬の人徳(…いやいや、犬だから犬徳ですかね)がかなりなものであるのは。作中何度も語られますが
そのゴローが見こんだ主人ですから、綿貫さんだってなかなかのものなんですよ♪

 

高堂さんがたびたび訪れたり、そのうえあちこちでこの世の存在とは違うモノや出来事に出会うので
綿貫さんの過ごす日々はけっこう賑やかです。
それがちょっと落ち着きのなさにも感じられたりして、家守という静かなタイトルのイメージと外れるように思うのですが
引っ越して落ち着くまでのざわざわした雰囲気がこの作品の持ち味だということかもしれません。
特に、最後のエピソードを読むとそう感じますね。
(ここも綿貫さんの素晴らしい率直さの読みどころなので、ご興味おありの方にはぜひぜひ読んで味わっていただきたいです!)

 

犬好きな方はゴローの活躍をお楽しみに
妖(あやかし)や不思議が好きな方は登場する存在や出来事の数々をお楽しみに
綿貫さんはそのフラットさゆえに存在感がやや薄めですが(笑)
彼が居て守ってくれる高堂実家はとても住みよいところです。


これが本で
リアルではないのがちょっと残念ですが、
ぜひ訪れて、お茶でも飲みながらのんびりとした一時をお過ごしくださいませ。

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