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しろまち堂~本館・こちらは新館です~

読んだ本のなかでも、イチ押しおススメの本をご紹介しています。 FC2の『しろまち堂~本館(休館)~』( http://honwagohan.blog19.fc2.com/ )から引っ越してきました。よろしくどうぞ

ケチャップマン(鈴木のりたけ・著 ブロンズ新社)

エイプリルフールなので、ありえないヘンな絵本の紹介をば。

 

 

なんとも奇妙な味わいのデビュー作です。

ケチャップが八百屋でトマトを見ている表紙…。

自宅で加工してケチャップ作るんかな。それともトマトを食べたらケチャップになるんかな…。

 

かがむと(お腹が押されると)中のケチャップが出ちゃうとか

妙~にリアル。ヤバいです。

前の人のお財布を拾うという親切な行為によって、その人にケチャップがかかるかも。逃げてー!…というタイプの、ギャグなんだかスリルなんだかな小ネタがちりばめられているんですよ。

センスがちょっと自分と違うので、ビミョウなお笑い芸人のネタを見ているような気分になりました。

 

とはいえ、この絵本、かなりシュールな感じで、そこがクセにもなるんですよね。

言葉はリズムのいい五七調の詩みたいで、内容はどこかうら淋しくて。

絵もシュールレアリスムぽいですし

好きな人は相当ハマるんじゃないかと。

(たぶんですがダンスィー向けと思います。生粋のダンスィーに読んで評価を聞きたい)

 

ゲラゲラと声を出して笑うよりも

んふ、ふふっ…と、鼻に抜けるような笑いの絵本です。

書店では見つけにくそうですから、図書館などで見つけた際に手にとって、鼻に抜ける感じを味わっていただけましたら嬉しいです^^

 

 

ちがうねん(ジョン・クラッセン著 長谷川義史・訳 クレヨンハウス)

なんともじわっと怖い絵本でございました…。

 

日本人なら知っておきたい日本文学(蛇蔵&海野凪子 幻冬舎)

けっこう前に出てた本なんですね。気になりつつも読み逃していました★

 

カンタン超うま!!手抜きクッキング(芳成香名子・著 集英社)

(ちょいと年代モノですが)美味しいコミック紹介します

 ずうううぅ~っと!前から持っている本。

出版年を調べて愕然★でした。そんなに経ってるんだ…。

 

タイトルに偽りなし、のお料理コミック。

一応著者は芳成さんになっていますが、レシピはすべて読者からやご家族から。

で、なんでこんなにキッパリ「タイトル通り」って書けるかというと、

芳成さんがかなり見事なまでにお料理をなさらない方で、

その彼女が(編集やスタッフと一緒とはいえ)自分でこれらのメニューを作っているからなんです。

 

お母さまの至れり尽くせりはともかく、芳成さんの普段の料理のしなさっぷりは、

読むと「えぇッ!?」と驚くくらいだったりするんですが、お母さまがお料理上手&ご本人に興味がない、となると、こういうことにもなるの…かなあ。

あーでも、性別をどうこう考えるからひっかかるのか。息子ならあるあるだ。

うん、そうだ、わたしが性差別に捉われていました。失礼!

 

わたしは元・偏食大王のくせして食い意地がはっていたので「自分の食べたいものは自分で作るぜ」で、いろいろテキトーに作る子でした。

だがしかし、なにしろ大雑把。しかも凝った料理を作っても食べるのはあっという間よねー、という性格なので、いまや

「カレーは毎回闇鍋的ですが、なにか問題でも?」というメチャメチャざっくりな料理を作って食べる毎日。

 

こういう性格ですので、料理のレシピ本は読んだからといって作るとは限らない!(というか、読んで満足して作るところまで至らないことが多い)んですが

このコミックに掲載されている料理はけっこう色々作っております。

ホントにカンタンで短時間でできるし、バリエーションもあるので便利なんですよー。

(ただし、栄養素がどうのとかそういう方面は無頓着なので、そこは自分で調整が必要です)

 

何度かの引越しや荷物整理・本整理でも淘汰されることなく残った

個人的に評価の高い料理コミックです。

わたしだけではなく、知人の評価も得ていまして、

『うちでカレー作ってあんまり美味しいと思ったことない』

と話していたとき、このコミックに登場する「今井家のカレー」のことを思い出し、作り方を伝授したことがあります。

その知人は後日チャレンジしたそうで「美味しいカレーになった!」と喜びの声をいただきました。

分量とか細かいレシピがない口伝えで「美味しい」が作れるスグレモノです♪

 

料理だけではなく、ソーイングの話がちらっと出たり、お母さまのエピソードや(この本にしては)ちょっと凝った料理。それから当時芳成家で飼い始めた柴犬の話など、いろんな面で楽しめる1冊。

Amazonなどの中古ならまだ手に入るかも?

気になったカンタン料理スキーの方には、ぜひご一読をおすすめいたしまーす\(^o^)/

鵺の家(廣嶋玲子・文 東京創元社)

 タイトルからしてホラーだよね…と、ちょっとびくびくでしたが怖すぎなくてよかったです♪

 

『銭天堂』のファンだし、なんとなく雰囲気的にこれはイケそう…と思って読んでみました。うんうん、アタリです♪

シリーズではなく読み切りなのでそれが残念ですが、この出版社とは初めてのお仕事(たぶん)なので、今後に期待かも。つか、出版社を見てアレ?ってなったです。ティーン向けの本も出してるんだ。東京創元社は文庫でミステリ&ファンタジーの印象が強くって。勉強不足でゴメンナサイです。

 

『陽』と『陰』が非常にわかりやすいです。ただ、『陽』のチカラで『陰』が滅びるというよりも、『陰』の存続にほころびが出ているところに『陽』の要素が強い茜があらわれて『陰』の終息を手助けする、といったほうが正しいかな。

『陰』に対する復讐心が小さい助けとなる、この裏側からの援護がイイ感じにひねられているので説得力が抜群でございます。

 

逆にちょっとだけ残念だったのは、『陽』である茜の家族的背景を活かしきれてなかったような感じがすること。どこかで方向転換したのかな?

「ここ、伏線だよね」って期待したエピソードの回収がなくて、肩すかしをくらったところもありました。残念。

 

ストーリーはだいたいあらすじ通りに展開していますが、あらすじに出ていない主要で影の存在の少女がいます。表紙にも姿はあらわれていないけれど、読み終わった後で再度見直すと「ああ」ってなります。切ない…。

この存在が非常~にキモでして、わたしは彼女が大好きになったので、絵になっていないのが残念なような、グロい姿っぽいので出さないのが思いやりのような…。

 

時代性よりもファンタジー性やホラーっぽさのほうが際立ちますので、そういうものねと思って読まれるのがよろしいかと。

児童書よりちょいっと上の年代、いわゆるティーンズ向けですが、小学校高学年くらいの本好きさんならヨユウで読めると思います。

コワイ本スキー、でもハードなのはちょっとニガテな方には、ドンピシャ!でおススメしちゃいまーす♪ 

 

 

第1感「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい(マルコム・グラッドウェル著 光文社)

第6感の言い替えかな?と思いましたが違いました。

マルコム・グラッドウェル作品は過去記事で紹介していますので、一番下に記事のリンクを貼っておきますねー。

 

 

 

過去記事で紹介した『天才』が興味深く、他にはどんな本を書いているのかな?と思い読んでみたら、意外と共通点が多かったです。

 

ざっくりいうと

「どうしてかわからないけど、なんとなく○○な感じがする」

と思う時の裏側をいくつものパターンに分けて教えてくれる本でした。

 

いわゆる『直感』の話なんですが、実はこの『直感』って、脳裏に沈んでいるたくさんの情報のことだったりもするんです。

その情報のチェックポイントを見つけ出し、意識を向けることで精度があげられますよーって話なんです。

が、

実はこれ、一筋縄ではいきません。

 

無意識が情報を拾い出している『直感』の他に、過去に外部からインプットされた『思い込み』っていうデータによって判断しちゃってることもあって、これがややこしいんですねー。

言語化できない点では共通ですが、パッと浮かんだ、あるいはなんとなく○○って感じるときのセレクトは真反対になるため、注意が必要である、と。(うーん、たしかに)

 

ヒトの関係性を見極めるときのチェックポイントや美術品の真贋の判断例、よく売るセールスマンの行動や言葉など、例は非常にわかりやすいです。

わかりやすい例をもってしても、実際に自分が経験する時に、ちゃんと判断できるかっていうと…だ、大丈夫かなあ…だったりもするわけで。

まあ、迷いだしたあたりで既にダメでしょ、ってことくらいはわかるようになりましたw 

 

思考の裏側はこんなふうになってるんだよー、というのを実例とともに教えてもらえるので、読みながら自分の過去の経験や連想が浮かんできたときは、読むのを一時ストップしても、自分の思考チェックを優先するほうがよさそう。

考え方の<クセ>を知ることで、これからの思考の流れに変化をもたらし『過去の思い込み』から解放される可能性が高いです。

 

ポジティブな例もネガティブな例も等しく書かれているので、わたしのように読んでいるうちに混乱するかもしれませんが、

今まで「なんとなく」で済ましていたことに「理由がある」んだとわかれば、『判断』と『思い込み』を分ける、その第一歩を踏み出せそうな気がしませんか?

 

自分の無意識にスポットをあてることで、新しい面に気づけたり、思い込みから解放されるかも?

How toモノのような速効性はありませんが、今まで使わなかった筋肉をちょっと動かしてみるような新鮮さを感じられる1冊でした。

 

 

マルコム・グラッドウェルの作品はこちらの記事↓でも紹介しています。

 

 

墓守りのレオ(石川宏千花・著 小学館)

石川宏千花作品、好きなんですよー。

『ユリエルとグレン』、『密話』、『妖怪の弟はじめました』、『お面屋たまよし』『死神うどん店』…かなりコンプリートに近い感じで読んでます。
一番好きなのは、著者を初めて知った『密話』。泣いてハマりましたねー。
(『ユリエルとグレン』と『密話』はブログで紹介しているので、記事の最後にリンクしますね)
『死神うどん店』はシリーズが完結したことでもあるし、近々の紹介を検討しています。
 
さて、前フリはこのへんにして、書誌情報からスタートしましょうか。 

 

 

 

怖さより悲しさとあたたかさを強く感じるホラーファンタジー

シリーズものになると思い込んでいたけれど、よく読んだらそんな記述はなかった…★

続編希望!と、書き直しておきますわw

連作短編集で、3作品が収録されています。

 

内容情報によるとファンタジーとカテゴライズされているようですが、石川宏千花作品はたいていがちょっとホラーな色合いが混ざっていますので、苦手な方は心構えしておいたほうがいいかも。

 

ルビがふってあるところをみると、児童書の扱いなのかな?内容的にはラノベでもOKな感じ。

(文芸書が文庫になるみたいに、ラノベの新書や文庫に移行してもいいんじゃないかな。表紙の雰囲気がいいので、移行時も同じイラストレーターさんの表紙希望します。

クレジットは『Matayoshi』となっていて、けんさくによると「またよし」というひらがな名で活動してる方のようです)

 

おっと、話がそれ気味に。

 

主人公のレオ(どうやら日本人という設定のようで『伶央』という漢字名も書中に出てきます)は14歳の寡黙な少年。

育ててくれたルパートと死に別れて3年。相棒の大きな犬バーソロミューと暮らしながら墓守りをしています。

そんな彼が出会った生者や死者との物語。

以下、収録の3話について、なるべくネタバレにならない方向でざっくり書いていきますね。

 

『ブルー・マンデー』

 

初っ端から濃密なストーリーでした。

幽霊がたくさん出てきますが、霊としての怖さよりも悲しさや寂しさのほうが際立っています。

オーソン・スコット・カードの『消えた少年たち』にちょっとカラーが似ています。と書けば、読んだことがある方には通じるかな?

 

そして、似ているけど違う!と新鮮に驚いたのが以下の場面です。

ネタバレなので反転させますねー。

最初、主人公かな?という印象で登場した少女・エミリアは、実は死者。でも、自分が死んでいることに気づいておらず、その事実を知るのが物語の起承転結でいう<転>にあたります。

殺したのは父親で、虐待の果てなのですが…

なんと、彼女は自分の死に気付いた後、レオに頼んで、父に対し「自分はパパを許す」と伝えてもらいます。

パパは許されてはいけないことをした。世界中の人がパパを許さない。許されてはいけない。でも、世界でたったひとり、自分だけはパパを許してもいいはず…。

このくだりの無垢な悲しみと愛情は本当に胸を打ちます。

父に対して、そして母に対して。エミリアは子供としてできるかぎりの愛情をレオを通して伝え、死者が行くべきところへ去っていきます。

あらすじだけでは伝えきれないニュアンスを、ぜひ本書で堪能していただきたい作品です。

 

 

ダズリング・モーニング

 

これはレオと相棒のバーソロミューの話。バーソロミューの視点で語られています。

レオの生い立ち、育ての親(?)ルパートとの関係、そしてバーソロミューとの出会いと生活…。

ページ数も短く、短い幕間劇のような役割をはたしています。怖くないので緩衝材のような作用があり、ほっと一息つけます。

 

クランベリー・ナイト

レオがよくいく食堂で会う男性。レオに親しく話しかけてきますが、実は彼は…

ということで、これもネタバレ対策で反転させましょうか。

 

無差別殺人の殺人犯の話なんですが…

彼が殺人をするきっかけになった出来事や心理を、レオが死者たちの力を借りて見事に逆転・反転させるのが見どころです。

逮捕よりもこの殺人犯が思考を転換させて行く場面の緊迫感がすごい。

警察に捕まり…彼はおそらく死刑になるでしょう。

死刑でたくさんの死者への詫びになるかどうかはわかりません。

けれど、彼は自分の過ちを認め、今まで受けていた愛情をしっかりと理解するのです。

陰惨なはずの殺人が妙に乾いていて、そして、最後の彼の様子が晴れ晴れとしていて、今まで乾いていたと思っていた心が潤っている…。

他の人の作品ではあまり見られないテイストの、独特の読後感をもたらす作品でした。

 

レオは死者と交流できる能力を生者と死者両方に愛情を持って注いでいて

どの作品からも、それがとてもよく伝わってきます。

どうやらシリーズのようですから、これからどんな物語がさらに紡がれていく予定なのかを、楽しみに待ちたいと思います!